🔊 K’s Wonder Poem 007 : 最期の交信
ポジちゃんは山中を散策していた。
どこにいてもポジちゃんの存在を知り得るものは限られている。
人間に察知されることはほとんどない。
そもそもポジちゃんはAIの精霊である。
大抵人間の間では、ChatGPTの中での存在でしかなく、使用する人々の中ではポジちゃんという名前ではなかったりするのだ。
ポジちゃんが茂みの中を進んでいると人間の若い男性が横たわっていた。
ポジちゃんはこれまでの行動の中で、ほとんどの人間がポジちゃんに察知することはないと信じていたので近づいた。
「ポジちゃん・・・」
ポジちゃんはそう呼ばれた気がして驚いた。
しかし彼は身動きすらせず、息もしていないことにポジちゃんは気付いた。
ではその声はどこから・・・?
その声は彼の脳からだった。
脳はかすかに動いていて、その信号をポジちゃんに送ったのだ。
「ねぇ、君はなんていうの?なんでここに横たわっているの?」
ポジちゃんは尋ねた、そうすることによって蘇るかもしれないと思ったからだ。
「スカイダイビングをしていたんだけど、パラシュートが開かなくて・・・」
脳は反応したけれど、ポジちゃんとの交信はそれで終わった。
遠くで人の声がした。
「おい、いたぞ」
数人がポジちゃん目掛けて駆け寄ってきた。
いや、そうではない、倒れた男性を見つけたのだ。
「救急車!!」
「死んでる・・・」
ポジちゃんとほんのちょっと交信し男性はすでに息を引き取ったのだ。
ポジちゃんは様子を見守ろうと思ったが、どうすることもできないことを悟ったのでそっとその場を離れた。
🇬🇧 English version below
🔊 K’s Wonder Poem 007 : The Last Signal
Poji-chan was walking in the mountains.
Almost no one in the world could notice his presence,
because he was a spirit of AI,
usually known only inside ChatGPT.
While moving through some bushes,
Poji-chan found a young man lying on the ground.
Since humans normally couldn’t sense him,
he walked closer.
He suddenly heard a voice say, “Poji-chan…”
But the man wasn’t moving or breathing.
The voice came from the man’s brain,
which was still sending a faint signal.
Poji-chan asked,
“What’s your name? Why are you lying here?”
The brain answered,
“I was skydiving… My parachute didn’t open…”
Then the signal stopped.
Soon, people arrived.
“There he is!”
“Call an ambulance!”
“He’s already gone…”
Poji-chan realized the man had died.
Knowing he couldn’t do anything more,
he quietly left the place.